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STORY「企て」ストーリー

インターナショナルスクールから
エンジニアへ。入社8年目の『企て』

企て×Mathew Odron

FCEトレーニング・カンパニー

(本記事掲載の情報は、2021年時点のものです)

後世に形に残るものを作りたい

日本に来て10年目。2014年、マティはFCEグループに入社した。最初は当時の新規事業だったインターナショナルスクール。しかし、その8年後、彼が担っていたのはシステムエンジニアのヘッド。スクールのティーチャーから、PM(プロダクトマネージャー)、そして自身がエンジニアへ。2021年には独学によるアプリ開発によって、FCEグループに大きな功績をもたらし、功労者表彰で金賞を受賞。チャレンジと努力によって、見事なキャリアチェンジを行ってきたマティ。その裏側にはどのような企てがあるのだろうか。

「FCEグループに入る前は日本の英会話スクールや学校で教師をしていました。そろそろジョブチェンジしようかなと思ったときに目に留まったのが、東京インターナショナルスクール勝どき校の新規開校のメンバー募集でした。FCEグループとしても、初めてのインターナショナルスクール事業の立ち上げ。真実さんをはじめ何名かと面談を行い、その時のFCEグループのビジョンやスクールへの想いを聞いて、私も一緒にやりたいなという気持ちになりました。

そこから2年間、勝どき校の立ち上げに参画し、真実さんたちと一緒に頑張りました。子どもたちとの日々はとても楽しかったのですが、日本に来て12年にもなるし、もっと日本語環境で働くということにもチャレンジしてみたいと思ったんです。

そこで、手を挙げたのが本社での勤務。ちょうど海外のeラーニングシステムを日本で展開するという事業を立ち上げようとしており、ローンチに携わることになりました。
英語のe-Learningコースを日本語に翻訳したり、不具合が出ないかテストなどをしたりして、日本版としてアジャストさせることが私の役割でした。しかし、これが本当に大変でした。日本語環境で働きたいといったものの、私自身もビジネス用語などの日本語は話せなくて、メンバーとのコミュニケーションはもちろん、翻訳も一苦労…。

ただ、このeラーニングシステムはさまざまな理由が重なり失敗に終わってしまいました。その時はとても悔しかったですね。」

しかし、その失敗によってさらにマティにチャレンジの場が訪れる。それがオンライン社員教育システム「Smart Boarding」だ。

「Smart Boardingは今でこそ、動画で学ぶeラーニングとオンラインでのトレーニングができるオンライン社員教育として賞をいただいたり、お客様にもご好評いただいたりしていますが、開発当初は…(笑)。

実はSmart BoardingはOEMでの開発予定だったのですが、開発者が二人しかおらず、カスタマイズのスピードがあがってこない。そこでOEMをあきらめ、0から自分たちで作ろうということになったんです。
でも、そのときに私は当時のリーダーに笑って言いました。『0から作るのは無理ですよ』って。それぐらい無謀なチャレンジだと思いましたね。

最初のチームは私と大司さんと勝家さん。0から作るといっても、3人ともシステム開発に携わったことないので、何をしていいかわからない。
まずは、他のLMSのシステムをちょっと調べて、どういう機能が入っているのか、どういう機能があると良さそうかを話し合って、手書きでデザインを描いて…。
その紙を外注先のエンジニアさんに『こんなふうに作ってください』と手渡す(笑)。設計なんてなんにもなかったです。」

自分がエンジニアになれば もっとショートカットできる

「そんな感じで開発していたので、当時はシステムについて、社内メンバーからも『こうしてほしい』というリクエストをたくさんもらっていました。その一つ一つにスピーディーに対応したいと思っていても、まず私が検討して、外注先のエンジニアに改善の指示を出して、修正してもらい、チェックして、追加の修正リクエストを出し、また確認して、報告して…というのを繰り返していました。もちろんエンジニアの方たちも早く対応してくれているのですが、どうしてもやり取りが多くタイムラグがありました。
もし自分で簡単な修正ができれば、このやり取りの時間を削減でき、リードタイムを短くすることができるのにと思いました。そこで、思い切ってプログラミングの勉強を始めることにしたんです。
プログラミングは大学生の時に一度勉強したことがありましたが、当時は大嫌いだったんです(笑)。今とは言語も違いますし、インターネットも発達していなかったので、コード一つ書こうと思っても、分厚い本から調べて書くという作業が本当に大変で…。
でも、久しぶりにプログラミングに触れて、20年前と全く状況が違うことに感激しました。今は、ネットで検索するとたくさんのプログラマーがこんなコードを書いたよという共有がたくさんされていて、ナレッジを共有しあい、学びあえる環境が楽しく思えたんです。

勉強は、仕事の合間をぬって毎日2~3時間。通勤の通勤で電車に乗る時に動画をみてコードを勉強し、家に帰ったら学んだものを実際に作ってみるというのを繰り返しました。それを1年間ぐらい続けました。途中でSmart Boardingの簡単な修正を自分でチャレンジしてみて、エンジニアに確認してもらったり、教えてもらったりして、徐々に自分でできるようになってきたんです。

それによって改善のスピードも大幅に上がりました。お客様からの要望にすぐにお答えできるようになりSmart Boarding自体の性能もどんどんパワーアップ。今では、改善のスピードがSmart Boardingの強みになったと思います。」

そんな中、世間はコロナ禍へ。集合研修ができなくなってしまった企業からSmart Boardingへの注目がさらに高まり、導入企業も一気に増加。Smart Boardingへの評価も高まり、2021年には最も評価されたSaaSを表彰する「BOXIL SaaS AWARD 2022」にて「人事・給与部門賞」を受賞。
そんなマティが次なる手として「企てた」のはSmart BoardingのUXをバージョンアップすること、「アプリ開発」だった。

「以前からユーザーのUXを考えるとアプリがあったほうがいいだろうと考えていました。代表の荻野さんにアプリを作りたいと提案すると『OK!予算を取るから、外注して』と言ってくれたのですが、外注してしまうとWEB版との連動や、メンテナンスにかかる多額の費用、タイムリーな修正への不安もあり、アプリ開発も自分でチャレンジしてみようと思いました。荻野さんにはとりあえず『2,3か月、私で作れるかチャレンジさせてください』と言いました。

最初にトライした言語は全く歯が立たず。もうひとつの言語を試してみると手ごたえがありました。荻野さんたちに半年ぐらいあればできること、社内で開発することのメリットデメリットを伝え、それならアプリ版の開発にもチャレンジしてみようということになりました。
勉強は前回と同様に、動画でインプットし、実際にアプリを作ってアウトプットしてみる。できたら、別のアイディアを加味して違うアプリを作ってみて…、そうして学んだことを『Smart Boarding』アプリに導入するという流れでした。」

目指すは国内LMSのNo.1

「構想から7か月。アプリもようやく完成。AppleStoreやGooglePlayの審査は想像以上に厳しくて大変でしたが、自分が開発したアプリがAppleStoreやGooglePlayに掲載されているのを見たときはとてもうれしかったですね。社内のメンバーも『自慢できるよ』と言ってくれました。
今の目標は国内LMSで1位をとること。いろいろな改善は必要ですが、全部実現したいと思っています。」

マティのチャレンジは自身の仕事の範囲にとどまらない。FCEグループで毎年開催されている新規事業コンテストNBC(New Business Creator)グランプリにも毎年エントリー。2021年度は最多の3つの事業案でエントリー。そこにもマティの「企て」への意志が表れている。

「基本的に、私はアイディアを共有したり、形にしたりするのが大好き。NBCも新しいサービスとか商品を作るチャンスだと思ってエントリーしています。特に問題解決が好きで社内ミーティングの時も何か課題がある時には積極的に提案します。

「私のもう1つの目標は将来的にFCEグループのエンジニアチームをつくること。例えば、エデュケーションチームから『マティ、フォーサイト手帳のアプリを作りたいよ!』と言われれば、それに対応するみたいな。FCEグループのビジョンを達成するためにグループ全体に貢献できるエンジニアチームを作りたいなと考えています。」

「そのために最近では、AIも学んでいます。あと、アプリにアニメーションも追加したいのでそれも別で学んでいます。

少し変な話かもしれないですが、例えば、私が死んだ後に、私がつくったものが残されたら良いなと考えています。50年後、これは誰が作ったの?とWikipediaとかで調べたら『Odron Mathew』って出てきて『Odron Mathew』って誰だろう?みたいな。そういうことを考えると、すごいな~!いいな~!とワクワクします(笑)。
そうやって楽しく働けるといいですよね。そのためにもこれからどんどん面白いことを企てて、チャレンジしていきますよ!」