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STORY「企て」ストーリー

今ないならば作ればいい。
新事業に挑むリーダーの『企て』

企て×永田純一郎

FCEプロセス&テクノロジー 
代表取締役社長

(本記事掲載の情報は、公開当時時点のものです)

顧客は1100社を
超えた、RPAロボパットDXの立役者

RPAとは、パソコンにインストールしたロボットによってパソコン作業を自動化するテクノロジー。FCEグループがそんなRPA事業に参入したのも4年前。当時は、ほとんど聞いたことがなかったRPAも、今では企業の生産性向上には欠かせない存在となった。顧客は1100社を超え、RPA事業はFCEグループの主力の事業となっている。この事業を立ち上げたのが、FCEプロセス&テクノロジーの永田純一郎。永田はこの事業にどのような企てを持っていたのか。

「2016年当時、私はFCEグループの新規事業開発の責任者でした。当時のFCEグループは教育事業や研修事業が中心。今後の事業ポートフォリオを考えたときに、ITやデジタルという分野は必須、そして、教育や研修に並んで、中長期的にFCEグループの柱になる事業をもう1本しっかり立てておかないといけないという考えがありました。

しかし、一方で有望なITツールがあればそれに取り組めばよいかといえば、それも違う。FCEグループが取り組む理由も必要だと考えていました。」

人材価値を革新すること。
そして中小企業と一緒に歩むこと。

さまざまな事業を検討しながら、その収益性や将来性だけではなく重視していたのは、なぜFCEグループが取り組むのか。その意義について永田はどのように考えていたのか。

「FCEグループのDNAの1つにHuman Value Innovatorとして、そのプロセスで人材価値を革新させようというコンセプトがあります。これが、私たちの取り組む事業には必須だと思っていました。加えて、大企業というよりは中小企業と一緒に歩んでいくのがFCEグループの在り方だと思っていました。

日本は世界的に見ても中小企業の割合が多く、企業数に占めるその割合は99%と言われています。つまり、中小企業が発展するということは、日本経済の活性化につながるということ…そのような中小企業が技術、テクノロジーを使うことによって大企業にも劣らない戦略をとることができ、そこで働く方々の人材価値の革新に関わることができれば、FCEグループがやるべき事業になるだろうと考えていたのです。」

中小企業の発展。それは永田個人が長年思い描いていた目標でもあったという。

「新卒1年目で300人ぐらいの中小企業の社長と会い、いろいろなお話を聞かせて頂きました。世の中にはさまざまな想いを持って頑張っている経営者がいることを知りました。そうやって頑張っている経営者の方がいるから、さまざまな仕事が動いて、世の中が変わり、日本の成長に繋がっているのだなと感じました。そうした経験から、中小企業をサポートしたいと考えるようになったんです。」

「そんな時、欧米ではRPAというものが主流になっているということを知りました。これまでFCEグループとして、クライアント企業の成長戦略や生産性向上などのご相談に乗る中で、人や時間が足りないという状況になってきているのを肌で感じていましたから、パソコンの作業を自動化できるというRPAという存在は純粋に凄いなと思いました。」

しかし、当時のRPAは海外製で日本に入ってきているものもほとんどがエンタープライズ(大企業)向け。莫大なコストがかかり、運用も複数のエンジニアを要するものが多かった。つまり、コスト的にも、人材的にも中小企業が導入するのは難しい状況だったのだ。

今、目の前にないなら、つくればいい。

「これから人口減少社会で人が減っていく、そうすると企業も人が足りなくなる、それで採用に困るのがどこかと言ったら、大企業ではなくまず中小企業なんですよね。にもかかわらず、この可能性のある技術が一番先に需要が出てくるはずの中小企業に使えるものになっていない。これは凄くもったいないなと思いました。 そして、もし中小企業がRPAによって生産性を劇的に改善することができたならば、戦略的な部分にリソースを集中でき、もっと新しいチャレンジができるようになるのではないかと思ったんです。

そこから半年くらい『中小企業向けのRPAをやりたい』ということを会う人、会う人に話をしました。縁ってつながるものなのですね。同じ志をもったある技術者の方と出会うことができたのです。そうして生まれたのがRPAロボパットです。」

しかし、当時は前例のない中小企業向けのRPA。その上、RPAといえば大企業が導入するものと認識されていた中、その成功の鍵をどのように捉えていたのか。

「私が考えていた条件は2つありました。1つは、導入しやすい価格と契約形態。そして、もう1つは事務などを行う現場の方が簡単に使えるかということでした。中小企業には、情報システム部門やエンジニアがいない企業が多いのです。そうなるとエンジニアじゃないと分からないものでは導入が進んでいかない。事務職の方が、自分の仕事を自分で、簡単に自動化できる。それが最大の鍵だと捉えていました。」

「加えて、FCEだからこその強みも活かせるのではないかと考えていました。私たちは創業時から、企業のコンサルティングや学校改革などを行ってきました。つまり、一貫してどうやるかというHowの部分を積み重ねてきた企業なんです。だからこそ、ツールを販売するWhatだけではなく、導入する企業の目的を実現するところまでをサポートするHowの部分が提供できる。ここが圧倒的な差別化になると思っていたのです。」

「これはいけるという手ごたえを感じたのは、FCEグループでのトライアルでした。今まで事務しかしたことがない業務管理の女性社員が1週間も経たないうちにロボットを1~2個、軽々と作ってしまったんです。そして、自分の業務をロボットが代わりにやってくれるようになったと大喜びしている姿を見て、よし、これはいける!と確信しました。」

他社がやりたがらないところで勝負する。

「中小企業というマーケットには他社は参入できないだろうと考えていました。
なぜなら、他社のRPAが自動化していたのは、大企業が抱える何万時間という業務ボリュームのパソコン作業。エンジニアがプログラミングを使ってRPAを組み、膨大な事務作業を一気に自動化するというやり方でした。
しかし、中小企業が抱える業務は大企業と比較してボリュームが圧倒的に小さい。数十時間や中には数時間という業務ボリュームのものもあります。小さいのに労力はかかる。そこに参入するかといえば、ノーですよね。それよりも大企業の大規模な業務を自動化したほうがはるかに効率がよいからです。」

他社がやらないというのはそれだけデメリットがあるということだ。そういったデメリットをFCEグループならできるというのはどうしてなのか。

「多くの会社は、面倒くさくないことをやろうとします。でも、私たちはお客さんに対して必要だと思うことをどう面倒くさくなくやるかを考えるんです。

必要なことは面倒くさかろうが、やる。でも、今、この瞬間面倒くさいと思えても、それをどう面倒くさくなくするかを考えれば良いだけであって、それが私の中で、仕組み化なんですよね。」

デジタルと人材革新のノウハウを使って、
中小企業の生産性を高め、活性化し、
日本経済を大きくしていく。

ロボパットは今や1100社で利用され、FCEグループとしても中心的な事業となっている。ロボパットをリリースした時、永田は今のこの状況は予想していたのだろうか。

「余裕で想像していました(笑)。ただ1つだけ、ゴルゴ13を使って、全国CMをやるとまでは考えていませんでしたが(笑)。むしろ規模はもっと大きくなっているかなと考えていました。なので、やはり思っていることを思っているスピードで実現するのは大変なことだとも感じています。今のところ成長スピードと規模、業界の中での立ち位置という意味では、予想通りで来ていますね。」

RPAによって多くの企業が抱える人材不足などの課題から解き放ち、企業の生産性向上を実現すること。そうすれば、企業は未来に向かって新たなチャレンジにリソースを投下できる。そして、日本をさらにおもしろいチャレンジにあふれた国にする。これが永田の企てだ。

「今、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が注目されていますが、どちらかというと、デジタルにトランスフォーメーションしましょうという意味で捉えられているように感じています。しかし、日本企業においては、デジタルの力を使って、トランスフォーメーションする、つまり変革を起こすという考え方のほうが重要だと感じています。つまり、DXはシステムやITを導入する云々の話ではなくて、システムやITを使っていかに経営戦略やマネジメントを変えていくのかという話なんです。 FCEプロセス&テクノロジーは、そういう日本型のDXを推進していく存在になりたいと考えています。そして、これまで教育や人材育成と分野でFCEグループの強みを活かしていけば、それができる企業になれると考えています。

日本型DX推進カンパニーへ。そして、中小企業をデジタルと人材革新のノウハウを使って、中小企業の生産性を高め、活性化して日本経済を大きくしていく。これが、私たちの次なる『企て』ですね。」