「AIを自分たちの業務で、一体どう活用できるんだろう?」
「AIを使いこなすことで、私たちの仕事にどんな変化が訪れるのか?」
世の中でAIが当たり前になりつつある今、そんな疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
この疑問に答えるため、FCEの社内メンバーのAI活用事情とその劇的な効果を、「AI(あい)あるクワダテ」と称してご紹介していきます!
本企画が、みなさんの日々の業務を改善し、今よりもっと次をよいものにしていくための「企て」のヒントになれば幸いです。
今回は、社内問い合わせ対応の自動化に取り組んだ、プロセス&テクノロジー事業本部CSチームの菅井さんにお話を伺いました!

社内からの問い合わせ対応に、毎月10時間以上を費やしていた菅井さん。AIによる一次対応の自動化を試みるも、「AIが間違った回答をしたら誰が責任を取るのか」という大きな壁に直面します。
しかし、そこから編み出したのは、AIに完璧さを求めない「逆転の発想」でした。現場のリアルな課題を突破する、人とAIの新しい共創の形に迫ります。
メンバーの疑問をより早く解決するために。手作業による問い合わせ対応の壁
—— 本日はよろしくお願いします。まずは、現在取り組まれている社内問い合わせ対応の自動化について、どのような背景があったのか教えていただけますか。
菅井さん: 自社製品「ロボパットAI」の認定プログラムに関する社内からの問い合わせ対応です。専用の受付フォームから質問を入れてもらうと、AIが社内のマニュアルを参照して、自動で回答を作る仕組みを構築しています。
—— 以前は、どのように問い合わせに対応していたのでしょうか。
菅井さん: 以前から「よくある質問集」のようなExcelマニュアルは用意していたのですが、自分に当てはまる項目を探す手間がかかるためか、直接ご質問をいただくことも多くありました。より迅速に疑問を解決へ導きたいものの、個別の対応に月10時間ほどかかってしまっていたのが実情でした。
—— 月10時間は、本来の業務を圧迫する少なくない時間ですね。
菅井さん: そうですね。状況によってご質問の背景も異なりますし、一人ひとりの意図を汲み取って最適なご案内をするには、どうしてもマンパワーがかかってしまいます。
だからといって「マニュアルを見てください」とお戻しするのではなく、社員のみんなには迷うことなく業務を進めてほしい。この状況を前に進めるために、AIが一次回答を行う自動化の仕組みを作ろうと考えました。
精度100%へのこだわりを捨て、人が介在する安全網を敷く
—— 「AIは精度が100%にならないから、現場では使えない」と立ち止まってしまうケースも多いと思います。この壁をどう突破したのでしょうか。
菅井さん: いま話題の生成AIツールや、自動で動くAIアシスタントは、どうしても回答の精度が問題になりやすいですよね。仮に精度が95%あったとしても、残り5%の誤った回答を信じて行動した結果、問題が起きてしまう可能性があります。失敗した場合に誰が責任を取るのか、という懸念もありました。
—— 確かにおっしゃる通りです。
菅井さん: そこで、質問した人と、正しい知識を持つ社内メンバーを組み合わせてTeamsのチャットルームを作り、そこにAIの一次回答を投稿する形にしました。そうすれば、知識を持つ人が「それで合っています」「そこは違います」とすぐに補足できます。
AIの回答が完璧でなくても、人が確認する前提で実務に使えるようになります。この運用にすることで、導入のハードルが大きく下がりました。
—— AIに完璧を求めるのではなく、人が確認・修正できる状態をあらかじめ作っておくのですね。
菅井さん: ええ。「100%にならない限り使えない」という前提を捨てて、人が介在する安全網を用意することで、一歩踏み出すことができました。
ロボットとAPIで繋ぐ、安定性を最優先した裏側の連携
—— 裏側の仕組みはどのように構築されているのでしょうか? 既存のツールをどう組み合わせて自動化を実現したのか気になります。
菅井さん: ベースとしては、フォーム作成サービスから投稿があったときに、質問の種類に応じて処理のルートを分け、内容をメールとして処理用のロボットに送っています。
そのメールを受け取ったロボット(ロボパットAIで作成した業務アプリ)が、システム同士を直接つなぐ「API」という仕組みを使ってAIに質問し、得られた回答をチャットに追記する流れです。
また、扱う情報の機密度に応じて、外部の生成AIツールに質問する方法と、完全に社内に閉じた安全なAI(ローカルLLM)を使う方法の2系統に分けています。

—— Web画面を自動で動かすのではなく、システム同士を直接つなぐ形を選択されているのですね。
菅井さん: 誰でも簡単にロボットを作ったり修正したりできる「作りやすさ」を優先するケースもありますが、今回はローカルAIも含めて安定的に動く仕組みを作るために、ロボパットAIをプラットフォームとしたシステム的なアプローチにチャレンジしました。
—— 自動化の処理は、具体的にどのような順序で進むのでしょうか?
菅井さん: まず、専用フォームから質問が入ると、対応するチームごとのTeamsチャットルームが先に作られます。その後、ロボットがAIに質問し、得られた回答をそのルームに追記します。
万が一AIがエラーを起こして回答を作れなかった場合、後からルームを作る順序では質問自体が宙に浮いてしまいます。先にルームを作っておけば、AIの回答が出なくても担当者が通知に気づいて対応できます。徹底して「現場の対応を止めない」工夫を組み込んでいます。
用途を絞り込むことで、コンプライアンスの壁も乗り越える
—— AIを活用する上で、情報の取り扱いやコンプライアンス面で気をつけていることはありますか?
菅井さん: AIを安全に、かつ社内ルールに沿って使いやすくするには、「用途をあらかじめ限定すること」が大切だと考えています。例えば、普段使うすべてのチャットルームにAIを常駐させると、社内のさまざまな会話をAIが読み込むことになり、情報管理上の懸念が生じやすくなります。
最近だとMCPというAIとアプリを直接連携させるコネクタなどもありますが、私たちの場合は会社が求めるセキュリティ水準をクリアできず、こうした機能は利用できませんでした。
—— 確かに、そこがネックで導入が進まないケースはよく耳にします。
菅井さん: だからこそ、今回の仕組みでは「専用フォームに入力された質問に回答することだけ」に絞ってAIを使っています。そうすれば、基本的にほかの業務情報は読み込まれないため、社内で情報管理の確認を通すハードルも下がります。
—— 用途を絞ることで、結果的にAIの導入スピードが上がるのですね。
菅井さん: はい。技術が完璧になるのを待つのではなく、今あるサービスをうまくつなぎ合わせて、実際の業務で使える形にする。そのために、どうすればリスクを抑えながら現場の助けになるかを考えることが、一番大切だと思っています。
—— 「AIの精度が完璧ではないから使えない」と諦めるのではなく、人が介在する運用でカバーする、素晴らしい発想と実践例でした。菅井さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!
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