初めまして!22卒内定者(執筆当時)の赤津です。
FCE企てStoryシリーズ第3弾!~前編~
今回お届けするStoryはFCEグループが最初に企てた『7つの習慣』を子どもたちに分かりやすく伝えるためのプログラム、「7つの習慣J®」です(JはジュニアのJなんです!)。
現在は全国約100校の中学高校、専門学校、大学、約360教室の学習塾で導入されており、累計生徒数は290,000名にも上ります。
そんな「7つの習慣J®」が最初に導入されたのは「学習塾」でした。
では、「あえて挑め!」と掲げるFCEグループが、なぜ教育分野で、なぜ「7つの習慣J®」を、なぜ学習塾市場で企てたのか?
本記事では、「7つの習慣J®」の企てに迫るべく、創業初期のメンバーであるお2人にインタビューをしてきました!
(お話を聞かせてくれた人)
前FCEエデュケーション代表取締役社長。「7つの習慣J®」事業を企てると共にFCEエデュケーションを創業。現在は、FCEエデュケーション取締役会長であると共に、FCE Holdings(現FCE)執行役員としてマネジメント推進部長を務める。
FCEエデュケーションにて「7つの習慣J®」事業の企画や専門学校の教育支援を担う。FCEトレーニング・カンパニーでは各種研修講師も務め、FCE Holdings(現FCE)内部監査室長を兼任。
FCEの原点、7つの習慣とは?
『7つの習慣』は、スティーブン・R・コヴィー博士が、これまでの成功したといわれる人たちの共通点を研究し、⻑期的・継続的に望む結果を⼿に⼊れるために必要な習慣をまとめた書籍です。2022年2月現在、全世界で4000万部、日本では約250万部の販売部数を誇り、20世紀に最も影響を与えたビジネス書の1つに選ばれています。今回迫る「7つの習慣J®」は、そんな『7つの習慣』を子どもたちに届けることを目的に企てられた、FCEグループの最初の事業です。
この「7つの習慣J®」は「すべての子どもたちをアクティブラーナー(能動的学修者)に」というコンセプトのもと、子どもたちが楽しく『7つの習慣』を学び、生活に落とし込めるプログラムを展開しています。
そんな「7つの習慣J®」学習塾事業はどのような背景で企てられたのでしょうか。
会社を変えた「2つ」の運命的な出会い
鈴木さん:今から20年前、FCEグループがまだ前身の会社であった頃に、会社の転機となる出来事があったのです。当時、代表の石川は外食の店舗などを経営指導するスーパーバイジング(以下SVに略称)部門責任者をしていました。私もSV部門で、スーパーバイザー社員の新人研修などを担当していました。そのSV部門では、焼肉チェーンの「牛角」などのフランチャイズ店舗に伺って、本部と一体になって業績改善のアドバイスやサポートを担っていました。店舗には学生のアルバイトも多く、店舗の業績向上の鍵は、彼らにいかに経営参画してもらうかでした。どのように店長やアルバイトの学生を育成していけばよいのか、SV部門の社員全体で日々試行錯誤をしていました。
そんなときに、石川の部下だった方が紹介してくれた書籍が『7つの習慣』です。実際に石川が書籍を読んでみると、常日頃、アルバイトの学生たちに伝えたいと考えていたことが分かりやすく、そして体系的にまとめられており、「これだ!」と感銘を受けたそうです。本の内容を店長やアルバイトに伝えていくことで、もっと加盟店のお役に立てるのではないかと考えたのです。そこで、まずは私たち自身がしっかり『7つの習慣』を学ぼうということで、部署のメンバーに教えるための研修を受けに行きました。
そしてその研修で、私たちは千葉県のある小学校の先生と出会いました。その先生は学校の授業で子どもたちに、なんと『7つの習慣』を教えていると言うのです!『7つの習慣』研修はビジネスマン向けでレベルが高いプログラム。「あの難しい研修を、どうやって...?」本当に不思議に思いました。私たちはちょうどアルバイトの学生に『7つの習慣』をどのように伝えていくべきか悩んでいたので、その先生の授業から何かヒントが得られるのではないかと考えました。
そこで、子どもたちの授業の様子を直接、見学させて頂くことにしたのです。実際に授業を見たときの衝撃は、今でも忘れられません。そこには、「Win-Win」や「シナジー」といった『7つの習慣』の用語を当たり前のように使いこなし、学んだことをいきいきと実生活に落とし込んでいる子どもたちの姿があったのです。
その姿を見て…こんな思いがよぎりました。
「なぜ私たちは、アルバイトの学生に『7つの習慣』を教えようとしているのか」
「本当は子どもの頃から『7つの習慣』を教えるべきではないだろうか」
当時の日本の教育方針はどちらかというと偏差値重視。学校では『7つの習慣』にあるような主体的に行動する力や課題解決力を学ぶ時間は設けられていませんでした。ゆえに、大学生になって社会との接点を持つようになった時、彼らは自分の課題に直面することになってしまう...。
もし、『7つの習慣』のような考え方を子どものころから知ることができれば、どんな困難も乗り越えて、自ら未来を切り拓く力が身に付くはず…。
ここから子どもたちに『7つの習慣』を伝えていく事業をしたいと思うようになりました。
企てのきっかけになったのは、『7つの習慣』を子どもたちに教える先生との出会いでした。『7つの習慣』を事業化し、多くの子どもたちに伝えていきたい。その思いからFCEグループのチャレンジが始まったのです。
鈴木さん:どうすれば『7つの習慣』をよりたくさんの子どもたちに届けることができるかという観点で、様々なマーケットの調査・分析をしました。最初は『7つの習慣』だけを教える寺子屋のような塾を考えたこともありました。しかしそれでは人は集まらないし、教室を借りるようになってはお金がかかってしまいます。
さまざまな可能性を検討した結果、私たちが最初に目を向けたのが学習塾のマーケットです。2003年当時は学歴至上主義に疑問が投げかけられ、社会で自立して生きていけるような人間力が大事だと話題になった時代でした。そんな中、「学習塾」であれば、既存の生徒に対して数学や国語などの教科授業のオプションとして『7つの習慣』を提案できるのではないか、と考えました。学習塾としては固定費はそのままで売り上げが上がりますし、少子化で飽和している学習塾マーケットで、成績向上だけでなく、高い人間力を持った人材を育てるということを付加価値として差別化を図ることもできます。
ただ、この塾マーケットにアプローチをかける以前に、一番の難関がありました。
それは、ライセンス元の「フランクリン・コヴィー社」が子ども向けのサービス展開をOKと言ってくれるかどうか…。新規事業を企てることは会社にとって大きな決断でしたし、もしOKが出なかったら…と不安な気持ちがありました。そんな時、代表の石川が「とりあえずダメ元でも言ってみよう!」と日本のフランクリン・コヴィー・ジャパンに事業化の提案をしに行きました。悩む前にすぐ行動を起こしたのです。
これが意外な反応で、「面白い!」と前向きに検討を頂くことになったのです。ただし、ライセンスの交渉はアメリカ本社の了承も必要であったため、石川と私を含めたメンバーで渡米しました。
『7つの習慣』を子どもたちに届けるべく、ついに国境を越え、ライセンス元であるアメリカへ。その交渉の結果は....
鈴木さん:「いいですね!!ぜひやってみてください!!」
なんと、本社からライセンスの許可を頂くことができたのです!この言葉を聞いた時は、これから子どもたちに届けられるというワクワクの気持ちでいっぱいでした。
私たちは、やっとスタートラインに立つことができたのです。
▲『7つの習慣』の著者スティーブン・R・コヴィー氏と鈴木さん(2004年)
当時は、足を踏み入れたことがなかった教育分野の事業。社員も、当然ながら「教育」の知識は充分にないド素人ばかり。そんな「教育ド素人」のFCEグループが、なぜ子ども向けの『7つの習慣』プログラムを開発することができたのでしょうか。
未経験上等!熱い想いを持つド素人の挑戦
大戸さん:新しい事業を始めるにあたって、私は商品開発を担うことになりました。子どもたち向けの教材を作るといっても、元々、アメリカの子ども向けにつくられた『7つの習慣』の教材があったので、それを日本語に翻訳したものを使う予定だったのです。しかし…現実はそんなにうまくいきませんでした。
翻訳された教材はアメリカと日本の文化の違いもあり、素人目にも子どもたちが楽しく学べる内容ではありませんでした。当時、ある塾でトライアル授業を実施させてもらうことになり、生徒に授業をする前に塾の先生たちに授業を見てもらう(そして、先生たちのOKがでたら生徒に授業ができる)ステップを踏む必要がありました。恐る恐る授業をしてみると、案の定「こんなのじゃだめだめ!子どもたちはついてきてくれませんよ」と、けちょんけちょんに言われました 。
こうなったら自分たちの手で、ゼロから日本の子どもたち用の授業プログラムを開発するしかない、そう腹を括った瞬間でした。
「子どもたちに『7つの習慣』を伝えたい」という熱い想いが、「教育業界ド素人」というハードルを乗り越えて、プログラムをゼロから開発するという挑戦をするきっかけとなりました。そうはいってもゼロから始めるわけで、そこにはいくつもの苦労があったそうです。
鈴木さん:毎週土曜日に子どもたちの授業があるんです。ですが、それまでに先生方からの合格をもらえなければ、子どもたちに授業をすることは出来ません。火曜日に先生方たちに授業をしてダメ出しを受けて、木曜・金曜に再チャレンジするという流れを何度も何度も繰り返しました。そうして出来上がったのが初期の授業です。
大戸さん:「どうすれば子どもたちに受け入れてもらえるのか?」、とにかく毎日必死に考えました。授業のスライド作成からプリント作成、どのスライドの時にどのようなトークをするかというトークスクリプトなど全部ゼロから自分たちで作りました。1コマ50分の授業にスライドは40枚、トークスクリプトはA4で15ページほどにもなります。それを何10コマも…。本当に緻密で大変な作業でした。また、当時私は、子どもたちに人気の「セカチュー(世界の中心で愛を叫ぶ)」すら知らなかったんですよ。これでは子どもたちの興味を惹きつける授業などできないと思い、子どもたちに流行っているものを猛勉強しました。他にもカリスマ塾講師の方に依頼をして授業のやり方を教えてもらったり、実際に授業をしてもらったりしました。
▲プログラム完成後、先生方への研修などをスタートした大戸さん(2007年)
子どもたちを理解することから始めた授業づくり。
はじめは子どもたちに興味をもってもらうことにさえ苦労した授業も、数えきれない試行錯誤を重ね、だんだんと子どもたちに受け入れられるようになっていきました。やがて子どもたち自身の変化も見られるようになったと大戸さんは言います。
大戸さん:「7つの習慣J®」の授業は、子どもたちが楽しく学べるように、クイズやゲーム、有名人の話などもたくさん使います。他にも、習慣名を覚えてもらうために各習慣のジェスチャーをつくりました。子どもたちはジェスチャーをするのが楽しかったらしく、毎週ジェスチャーで習慣名を覚えたことを競うようにアピールしてきました(笑)。「7つの習慣J®」の授業はその成果がテストのように点数で見えるものではありません。しかし授業で紹介する「パラダイム」や「一時停止ボタン」「Win-Win」といった大人でも難しい概念の用語を子どもたちは片っ端から覚え、自身の行動に活かしていたのです。少しづつ変化する子どもたちの姿をみて、「7つの習慣J®」で学んだことは5年後、10年後の未来で絶対に活かされる、そんな確信が芽生えました。
未経験という壁を乗り越え、やっと子どもたちの反応からも手応えを感じるようになった「7つの習慣J®」。次はたくさんの学習塾に実際に導入して頂き、子どもたちに届けていこう!と意気込んでいた矢先、もう1つの壁が立ちはだかったそうです。
さてどんな壁があったのでしょうか。後半の記事はこちらからご覧ください!
※「7つの習慣 ®」および「7つの習慣J®」は、フランクリン・コヴィー・ジャパン社の登録商標です。
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