「朝起きられない自分を変えたい」
「自分の住んでいる地域をもっと良くしたい」
「いつかつくってみたかったアプリを、今つくってみたい」
子どもたちのそんな“やってみたい”が形になる場があります。
FCEが主催している「チャレンジカップ」は、全国の小・中・高校生がそれぞれの挑戦を掲げ、約半年間かけて本気で向き合うイベントです。2025年の大会には、1490組 2019人が参加しました。
誰かに決められた課題ではなく、「自分が決めた目標」に取り組む。
その姿に、私たち大人のほうが刺激をもらうことも少なくありません。
チャレンジカップとは、どんな場なのか。そして、そこからどんな成長が生まれているのか。今回はその一端をご紹介します。
チャレンジカップとは何か?
チャレンジカップは、FCEが主催している、のべ15万人以上の子ども達が参加した、小・中・高校生向けのチャレンジイベント。2008年からはじまり今年で17年目を迎えます!
子どもたちが自分自身で目標を立てて、約半年間かけてその達成に挑戦し、最後にその成果を発表します。
特徴は、「自分で決めた目標」に取り組むという点。
たとえば、「毎朝5時半に起きる」といった日常の習慣から、「自作のアプリをつくる」「地域のゴミ問題に取り組む」といった社会的なテーマまで、本当に内容はさまざまです。
ただ一つ共通しているのは、どの挑戦も“自分でやりたいと思ったこと”であるということ。それが、子どもたちの行動力や粘り強さにつながっていくのだと思います。
実はこのチャレンジカップ、いま学校現場でも注目されている「主体的・対話的で深い学び」にも重なる取り組みです。自分で考え、試し、振り返り、また挑戦する。そのプロセスは、大人が日々の仕事で行っているPDCAととてもよく似ています。
「やらされる」ではなく「やってみたいから動く」。それだけで、子どもたちの表情や言葉の力強さがまったく違ってくることを、何度も目の当たりにしてきました。
FCEがこのイベントを続けているのは、「行動する力」を育てたいと思っているからです。決められたことをこなすだけではなく、自分の中に問いを持ち、考え、動く。その力が、この先の社会を生きていくうえで、きっと大きな土台になると信じています。
チャレンジカップは、その第一歩を踏み出す場所です。
2025年の大賞は・・・?
【小学生部門】
チャレンジネーム:Maverick Adventures(ITTO個別指導学院 宮城名取東校)
チャレンジ内容:伝説の挑戦者!漢字・算数・英語の王者になる!

2年連続の大賞受賞です!
「Maverick Adventures」の2人は、算数検定・漢字検定・不規則動詞の暗記という3つの学習チャレンジに挑みました。計画通りに進まず悩む時期もありましたが、アクティブリコールやタスク管理、失敗の振り返りといった工夫を重ね、自らの行動を少しずつ変えていきました。
「冒険に出るなら実行しなければ進めない」という言葉の通り、勉強を“冒険”として捉えた視点と、互いに支え合いながら最後までやり抜いた姿が印象的でした。挑戦の中で得た“自分で進める力”は、きっとこの先の学びにもつながっていくはずです。
【中学生部門】
チャレンジネーム:花澄箏(岡山学芸館清秀中学校)
チャレンジ内容:「翌る日」という琴の楽曲をマスターして、2人で完璧に弾けるようになる。

入学式で演奏する琴の楽曲にチャレンジ!
「翌る日」という難易度の高い演奏に対しても果敢に挑戦している姿は素晴らしかったです。楽譜への工夫、動画での研究、先輩からの助言を通じて努力を重ねる中、演奏曲の変更という想定外の壁にも直面しましたが、「私たちならできる」と前向きな言葉を力に変え、練習を継続。
春休み中も週5日の練習に励み、本番では晴れやかな着物姿で見事に演奏をやり遂げました。結果に関係なく挑戦をやりきる姿勢と、周囲への感謝を忘れない姿が印象的なチャレンジでした。
【高校生部門】
チャレンジネーム:ワタ(創成館高等学校)
チャレンジ内容:県展・高美展・コンテスト賞の入選を取る。

デザイン科での学びの集大成として「県展・高美展・コンクールで入選する」という目標を掲げ、作品制作に真剣に取り組みました。文化祭準備や部活動と並行しながらも、手帳を活用した計画管理や周囲への相談を通じて試行錯誤を重ね、長崎県高校美術展では九州大会出場という成果を収めました。
「結果を出すことにとらわれすぎて、絵が好きという気持ちを忘れていた」との気づきや、自分自身と向き合いながら表現を深めていく過程からは、ひたむきさと成長への意志が強く伝わってきました。
“誰かにやらされている”のではなく、自分で決めた目標に
チャレンジカップの魅力は、子どもたちの頑張りだけではありません。運営に関わる私たち自身も、毎年多くの学びと気づきをもらっています。
たとえば、作品制作や検定合格など、それぞれの目標に向けて粘り強く取り組んだ参加者たちがいました。途中で思うように進まなかったり、自分の気持ちを見つめ直したりしながらも、「どうすれば続けられるか」「どこを工夫できるか」と考え、最後までやり抜こうとする姿が数多く見られました。
もちろん、挑戦の道のりは順風満帆ではありません。壁にぶつかり、思い通りにいかず、自信を失いかける場面もあります。
そんな時、子どもたちのそばで支え続けているのが、日々伴走するサポーターの存在です。
先生やコーチ、保護者の方々は、子どもたちが立ち止まった時にそっと背中を押し、時にはあえて見守り、必要なタイミングで言葉を届けてくれます。その小さな関わりの積み重ねが、子どもたちの「もう一度やってみよう」という前向きな力を育んでいます。
チャレンジカップは、“誰かにやらされている”のではなく、自分で決めた目標に向かって動く場です。そして、その挑戦の裏側には、子どもたちの可能性を信じ、粘り強く支え続ける大人たちの姿があります。
どのような大人に出会うか、どのような環境で挑戦できるか──それもまた、子どもたちの成長を大きく左右する要素であると私たちは感じています。
挑戦する中で、子どもたちは自信と行動力を手にし、大人はその成長を通じて「可能性は自ら広げられる」という事実をあらためて思い出します。チャレンジカップは、そんな双方向の学びが交差する場になっています。
私たちが目指しているのは、こうした「挑戦が当たり前にある環境」を社会全体に広げていくことです。
“やってみたい”という気持ちを起点に、挑戦が広がり、応援の輪が生まれていく。そんな未来の兆しが、チャレンジカップには確かに存在しています。