これまでFCEグループの事業や人、出来事を紹介してきたFaCE!おかげさまで「FCEグループについての理解が深まった」「リアルな雰囲気が伝わってきました」「FaCE!を見て入社を決めた」などたくさんのうれしい言葉を頂きました。
ただ、これまで私たちが伝えてきたのは「過去」と「今」。
『FCEグループは何に課題を持ち、どんな世界を実現したいのか?』
FCEグループが見据える未来とは?
そんな問いに応えるべく、私たちが考える「未来」についても発信を増やしていきたいと思います。
そんな第1回目に登場するのは、FCEプロセス&テクノロジーの代表の永田です。
FCEプロセス&テクノロジーが目指す未来とは?永田が考える10年とは?
超大作になってしまったので前半、後半に分けてお送りします。
FCEプロセス&テクノロジーとは?
2015年創業。『RPA Robo-Pat(ロボパット)DX』を通して「業務プロセスを新たなテクノロジーによって『構造的』に革新し、人の『価値ある時間』を創り出す」という理念の実現を目指しています。グループ会社で長年、人材育成事業に取り組んできた人材育成や組織マネジメントのノウハウを生かして、ツールの提供のみならず、企業の本質的なDXをサポートしています。
――まずは永田さんとFCEプロセス&テクノロジーについてご紹介お願いします。
私はFCEプロセス&テクノロジーという会社で代表を務めています。弊社の主力商材はRPA「ロボパット DX」というロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation:RPA)のソフトウェアで、パソコン上の作業をソフトウェアロボットが自動化してくれるツールです。
このロボパットを活用して、企業の生産性向上を実現してDXを推進するためのサポートコンサルティングを行うことを事業として展開しています。
――今日本では「DX」というワードが大流行になって、何かといえば「DX」という言葉を見かけますが、永田さんはこの風潮をどのようにご覧になっていますか?
皆さんが「DX」に関心を持ったり、「DX」をしていかなきゃという意識が高まるのはとてもいいことじゃないかと思っています。ただ、DXがただ既存のツールを入れ替えましょうとか、アナログをデジタルにしましょうという文脈でとらえられている部分もあり、その部分については危機感を持っています。
日本企業に必要なDXは単なるツールの入れ替えやデジタル化ではない
――DXってそういう意味ではないのですか?
もともと、DXという言葉が欧米で言われ始めたのが2004年頃。当時は、これからデジタル技術の力で世の中が進化していくことや、アナログからデジタルに置き換わっていく社会変化を言い表す言葉でした。しかし、今の日本で求められているDXの意味は違います。
今、日本においては、「生産性の向上」が必須です。そのためにはデジタルを活用する必要がありますし、デジタル技術を駆使できる人材が必要になってきます。
つまり、日本では、単純に既存のビジネスをデジタル化すればいいということではなく、デジタル技術を活用して今後の環境変化に耐え得る企業に変革していくということが本当のDXであり、私たちは日本の環境変化を踏まえたDXを推進したいという想いを込めて『日本型DX』と呼んでいます。
――環境変化に耐えうる企業への変革?
そうです。よく言われていることでもありますが、日本はこれから大きな2つの問題に直面します。
一つは、人口減少社会、つまり人口減少によって労働力が足りなくなるという問題です。
もう一つは、IT人材の不足です。これからIT化デジタル化が進む日本の中で、エンジニアの需要が高まっていくのに対して、供給が間に合わない状態になります。
これら二つは非常に大きな変化です。労働力が足りない、そしてその状況を打開するためのデジタル化を推進する人材も足りない。この両方が足りない中で、個々の企業がどのように対応していくのか。
特にこの流れは中小企業から顕著になっていくと思われます。
――中小企業から顕著になるというのはどうしてですか?
まず労働力不足の部分ですが、人口減少社会に突入する中でどんどん人が足りなくなっていくという現象はIT分野に限ったことではなく、もう既に起きていることです。
今後40年間で人口が4,000万人減ると予測されており、労働人口が減っていくとなると、あらゆる業界で人が足りないという状況になっていきます。
ただ、学生の就職活動の動きを見ると、コロナ禍で状況が厳しい業種であっても、大手企業に限って見ると人気は衰えていません。一方で、中小企業にはなかなか人が集まらない状況があります。採用面で苦労するのは中小企業からなのです。さらに、条件がよければ転職したいという人は大手企業志向が強い場合もあるので、人材の定着という側面においても中小企業は悩まされることになります。
▲毎回、多くの方に立ち寄っていただく展示会でのブース
――確かに我々も含めて、中小企業の採用が厳しくなってきている実感があります。
そうですね。さらに、労働力不足に備えて対策をとろうという時に、まさにデジタルの力が必要になってくるわけですが、では、中小企業に例えば情報システム部門のような専用の部門があるかというと、ほとんどの場合そのような部門はありません。つまりこのまま放っておくと、人も足りない、そしてデジタルのスキルもないという状況になってしまうというのが現実です。
そのため、環境の変化に対して何も対策をしなければ、中小企業から先に労働力不足が顕在化していくだろうと思っています。
DXを推進していなかないと、置き去りになる可能性も
――企業が対策をしなかった場合、どうなると思いますか?
言葉を選ばず言うと、置き去りになると思っています。
外部の人材に頼る場合、例えば人手不足を補うために非正規雇用で派遣の人材を雇うなどの選択肢がありますが、現実的にそれが可能かというと恐らく優先順位はかなり低いはずです。
労働力を外注する時に意識しなければならないのは、その会社にだけ人が足りないのではなく、日本の社会全体的に人が足りないということです。つまり、国内での調達は難しい。ニアショアということでアジア圏に外注しようかということになりますが、いま現実的にアジアなどの海外は日本のマーケットを見ていません。もっと条件の良い国が他にたくさんあるというのが現状です。
地理的に日本から距離が離れれば離れるほど日本語習熟度は下がりますし、日本から遠く離れても日本語が話せるようなハイレベルな方は単純業務のような仕事を選びません。そうするとオフショアでの外注は難しいということになります。
となると、お金を払って国内で何とか労働力不足を解決したいということになりますが、いま日本国内でもエンジニアが足りない状況で、IT企業やSIer企業に対する需要が山ほどあるわけです。そうすると、条件のいい大手のお客さんから優先的に対応するということになります。
つまり、人が足りない、外注もできない。そしてシステム会社にお願いしようと思っても断られるという状況が生まれて、結果としてこのままいくと日本の中小企業は置き去りにされてしまう。これは悲観的ではありますけれども、現実的に起こりうる未来だと思っています。
▲日本型DXについて講演をさせて頂いている永田
――そうなると、中小企業としてはどうしていけばいいのでしょうか?
人が減るもしくはこれ以上増えない状況で、経営戦略として自社にとって必要なものは何かを考えると、成長していくため、あるいは、今の水準を保っていくためには、生産性を高める必要が出てきます。
ではどうやって生産性の向上を実現するかというと、これからの時代においてはデジタルを活用できるかどうか、もしくは新しい技術を自社に取り込めるかどうかが非常に大事になります。
アナログ一本で職人的にやるという希少価値もあると思いますけれども、レバレッジを効かせよう、人数以上のプラスインパクトを与えようと思うと、やはりデジタルの力、進化したテクノロジーを自社の事業にどう組み込んでいくかという視点が必要になるのです。
――しかし、さきほど人材もエンジニアも不足していると…どうやってデジタルの力を取り入れていけばよいのでしょうか??
まず大事なのが、「デジタル人材」と呼ばれる、自社の業務にデジタルの力を取り入れる力を持った人材を自社内で育成していくことが必要だと考えています。 DXを推進するためには、デジタルにだけ詳しければいいということではありません。いま世の中全体に足りていない人材は、ITサイドとビジネスサイドをつなげられる人材です。
そういったデジタル人材を社内に作れるかどうかというのが、このデジタルの進化を自社の成長につなげていける会社であるかどうかの重要なポイントだと思います。
ただ、ここで重要なのが特定のメンバーをデジタル人材に育てるという方向ではなく、全員が初歩的なITリテラシーやDXへの意識を身につけていくこと。アナログな現場から突然エンジニアが育ったりしないのと同じで、デジタル人材が生まれる組織や風土のレベルが上がっていく中で、DXに特化した人や傑出して成長した人がリーダーになっていくものなのだと思います。
つまり、日本型DXとは、究極的にはデジタル人材が生まれ続ける組織、そしてデジタル人材が業務の生産性を向上させられる組織になる、ということなのだと考えています。
(後半に続く)
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