こんにちは!22卒内定者(執筆当時)の古野です。
FCE企てストーリー第5弾!
「チャレンジあふれる未来をつくる」ため、業界問わず、様々な社会課題にビジネスで挑んできたFCEグループ。FCEエデュケーションでは、「7つの習慣J®」を始めとするさまざまな教育コンテンツを全国の学習塾や学校に提供しています。中でも今回ご紹介するフォーサイト手帳は今や800校の中学校・高校、約28万人の生徒たちに使われている商品です。(※2021年現在)
そんなフォーサイト手帳はどのように企てられたのか?どのような紆余曲折の上に今の事業が成り立っているのか?本記事では、フォーサイト手帳の事業創造ストーリーに迫ります!
(お話を聞かせてくれた人)
FCEエデュケーション取締役兼文教事業本部長
2012年10月にFCEグループに入社し、2020年10月からFCEエデュケーション取締役を務める。「7つの習慣J®」・「フォーサイト手帳」・「Find!アクティブラーナー」などのFCEエデュケーションのメインサービスの立ち上げに携わり、現在もサービス拡大に日々奔走中です。
「7つの習慣J®」事業に立ちはだかる大きな壁、突破口は「手帳」だった!?
2013年、フォーサイト手帳は誕生しました。子どもたちの「振り返り力」を高めることをコンセプトに開発されたフォーサイト手帳ですが、その誕生の背景には、当時FCEエデュケーションが直面していた大きな「壁」が関係していたと言います。フォーサイト手帳事業は、どのようにして企てられたのでしょうか?
中迫さん:フォーサイト手帳は私たちFCEグループの最初の事業である「7つの習慣J®」から生まれた事業でした。「7つの習慣J®」というのは…とお話したいところなのですが、この事業にも私たちの熱い思いが詰まっていて、話し出すと止まらなくなってしまいそうなので…(笑)
「7つの習慣J®」に関してはこちらの記事を読んでみて下さい!
フォーサイト手帳を開発する前、私は「7つの習慣J®」の学校導入を担当していたのですが、そこである「壁」に直面していたんです。それは「7つの習慣J®」を生徒たちに届けるまで、とても長い期間がかかってしまうということでした。「7つの習慣J®」は学校で国語や数学のように1つの授業として実施されます。新しい授業、それも「勉強」ではなく「考え方」を学ぶ授業を学校で取り入れるというのは、当時ほとんど前例がありませんでした。加えて、学校側には「7つの習慣J®」を教える先生、教える授業の枠、そして導入費用を確保していただく必要がありました。ゆえに「7つの習慣J®」の導入は学校にとっても大きなチャレンジで、学校の経営層や管理職、現場の先生方まで全員が「やってみよう!」と納得していただいた上で、生徒や保護者の賛同も得て、初めて導入にむけて進むことができるんです。そのため、数年がかりでご契約をいただくこともありましたし、様々な要因で最終的に導入が難しくなってしまうこともありました。そんな状況の中で私は「『7つの習慣』をもっと早く、もっと多くの子どもに届けることができないだろうか」と悩んでいました。
FCEグループ最初の一手として企てられた「7つの習慣J®」。しかし民間の有料プログラムを学校が授業として取り入れることは前例がなく、なかなか導入は進みません。そんな中、「7つの習慣J®」の提案で訪れた学校であるお話を耳にしました。
中迫さん:「7つの習慣J®」の営業で全国を飛び回っていた時、ある東北地区の学校の先生からこんなお話を聞いたんです。
「『生徒の自己管理力を高めるためにビジネス手帳を教材として使いませんか?』という提案資料が送られてきたのですが、どう思いますか?確かにこれちょっと面白そうだと思っていて…!」
常に生徒の主体性を高めることに腐心している先生方が「ビジネス手帳」を教材として使うことに興味を持ち始めていることを知りました。
「手帳か…ありかもしれない!」
そう思ったんです。というのも『7つの習慣』を日常生活で実践するうえで手帳を使うというのはとても効果的なんです。実際に『7つの習慣』の書籍でも手帳の活用法が紹介されているほどです。そこから我々が構想したのは、単なるスケジュール管理をするようなビジネス手帳ではなく、生徒たちが自ら「目標を立て、その目標を達成するための計画を立て、自分の行動を振りかえる」というPDCAサイクルを回し、振り返り力を高めることができる手帳の開発でした。
私たちは手帳の「手軽さ」にも注目していました。先ほどもお話ししたように「7つの習慣J®」は導入までのハードルが高く、契約までに期間がかかることがネックでした。先生方が「是非やってみたい!」と言って下さっても費用や体制のハードルをクリアできず、先生方のお力になれなかった時はとても悔しい思いをしてきました。しかしフォーサイト手帳は、1冊からでも導入できる手軽さが強みです。「7つの習慣J®」と比べても1人あたりのコストは安価ですし、教える先生や教えるための授業時間の確保も必要ありません。先生方が「使ってみたい!」と思ったらクラス単位、部活動単位でもすぐに取り入れていただけると思いました。フォーサイト手帳は、我々が「7つの習慣J®」を通じて全国の生徒の皆さんに伝えたかったことをよりスピーディーに実現し、より多くの生徒の皆さんに「未来を切り拓く力」を育んでもらえると思ったんです。
会社を飛び出し学校へ!
フォーサイト手帳のアイデアが形になるまでのスピードは圧倒的だったといいます。そんな中フォーサイト手帳のサンプルを抱え、中迫さんたちが向かった先は学校でした。
中迫さん:「7つの習慣J®」で伝えたかったことをフォーサイト手帳を通してもっと早く、もっと多くの生徒の皆さんに届けることができる。そう考え出したらチーム全員のワクワクが止まりませんでした!早速代表の石川さんに「こんな手帳ができたら売れると思うんです。完成したら一気に売ります!」とご相談したんです。すると石川さんから「完成してから売るの?こんな手帳を作りますけど、どう思いますか?って今すぐPRしたらいいじゃん!」というお言葉をいただいて。一瞬ポカーンとしてしまいました…(笑)。「あ…そうか。確かに今すぐに始めよう!」と、商品もまだアイデア段階の中「こんな手帳をつくります!どうですか?」と全国数千校にDMを送ったんです。その結果は驚くべきものでした。
「こんなに反響があるのか…!!?」
通常お送りしているDMに比べて、10倍近くのお問い合わせをいただいたんです!多くの先生方のフォーサイト手帳に対する期待の声をお聞かせいただき、「これはいけるぞ!!」と実感しました。
一方で、やると決めたはいいものの肝心な手帳はまだありません。とりあえず自分たちのイメージをもとにExcelで手帳の中身をデザインし、紙に印刷してホチキスでまとめ、サンプルをつくりました。そしてこの手作りのサンプルを持って学校を訪れ、先生方にアイデアをぶつけに行きました。私達が会社の中でいくら「これは役に立つぞ!」と意気込んで手帳をつくっていても、実際に先生方や生徒さんに活用していただけないことには全く価値がありません。本当に生徒の役に立つ手帳をつくるためには、会社を出て学校に行き、生徒の皆さんのことを一番知っている先生方の生の意見を聞くことが必要だと感じました。そこで、当時はまだ手作りのサンプルだったフォーサイト手帳をもって先生方に会いに行きました。
どの先生も熱心に私たちの話に耳を傾け、たくさんのアドバイスをくれました。私たちがフォーサイト手帳に込めた「子どもたちに未来を切り開く力を身に着けて欲しい」という思いに先生方が共感してくださり、「良いですね!ぜひやりましょう!」と言っていただけたときには本当に嬉しかったです。その後も先生方に何度も仮説をぶつけ、「そうではなくてもっとこんな感じ!」「そうそう!こっちの方がイメージに近いかも!」という話し合いを繰り返し、先生方のご経験やアイデアを手帳に反映させました。私たちの思いと先生方の思いが掛け合わさり、フォーサイト手帳は少しずつ形になっていきました。
圧倒的顧客志向で実現したブランディング
幸先よく始まったフォーサイト手帳事業。学校の先生方の反応を目の当たりにして、中迫さんご自身も手ごたえを感じていたそうです。しかし、乗り越えなければならない壁は想像もできないところにあったと言います。
中迫さん:今まで「7つの習慣J®」という無形商材を売っていた我々にとって、手帳のような有形商材を扱うということは大きなチャレンジでした。とにかく分からないことばかりで、未知の世界に飛び込んだような感覚でした。
「誰に頼んで手帳を作れば良いのだろうか。」
「デザインが決まったら、商標や意匠を登録しなければいけないのか。」
「出来上がった手帳を保管しておく倉庫が必要になるんだな。倉庫の家賃も考えないと。」
「デザインを変更するのにもこんなにもコストがかかるんだな。」
フォーサイト事業を進める先々で壁にぶつかり、その度に新たなことを学ぶ毎日でした。ある時はお客様から「手帳のビニールカバーが硬くなって使えない」といったクレームをいただきました。当時は気温によって手帳カバーの硬さが変化することを知らなかったので慌ててビニール素材のメーカーさんにどうしたらいいですかと問い合わせたところ「冬の寒さでビニールが縮んでしまっているのが原因なのでドライヤーなどで温めてもらって下さい。」と教えていただきました。「このような場面で自分たちが想像できないようなクレームをいただくこともあるんだな…」と思いましたね。もちろん今では、寒くても縮まないビニールを採用していますよ(笑)。
そして、事業を創るうえで必ず考えなければいけないのが「他社との差別化」です。ここでもFCEグループのこだわりと強みが発揮されていました。
中迫さん:フォーサイト手帳を展開していく中で、最も注力したのが他社との差別化です。他社さんには、長年蓄積されたノウハウと確立されたブランド力がありました。事業を立ち上げていく上では、そうしたノウハウやブランド力に負けない「差別化」ポイントを持つ必要がありました。
私たちはどこで勝負するのか。私たちの強みは何なのか。
その答えは明白でした。「先生や生徒の声に徹底的に耳を傾ける」ということです。フォーサイト手帳は立ち上げの時期から、先生方の声をもとに形になり、進化をしてきたからです。そして、先生方の声から生まれた差別化ポイントが「カスタマイズ」でした。学校独自のカスタマイズを可能にし、学校ごと・お客様ごとのオリジナルページを作れるようにしたんです。例えば、生徒の学習記録・進路関係の記録を残しておくページをつくっている学校もあれば、カトリック系の学校で信条を書き留めておくページをつくっていらっしゃるところもあります。フォーサイト手帳は徹底的に先生方、生徒の皆さんに寄り添った手帳を目指しました。
そうした結果、フォーサイトは今では800を超える全国の公立・私立の中学校・高校で活用いただくまでになりました。また、実際に使っていただいた生徒さんへのアンケート(※)ではなんと9割以上の生徒さんが「先の予定を意識するようになった」「やるべきことができるようになった」「振り返りをするようになった」と回答してくれ、嬉しい結果となりました。先生方からも「こちらが声掛けをする前に、生徒が自主的にテスト計画を立てるようになった!」という声や「『俺、スマホやりすぎてた…』と生徒自ら行動を見直すようになった!」という声をいただいています。私たちの思いが少しずつ形になってきたのかなと感じますね。実績もブランドもない、製本された手帳すら無かった時から私達の可能性を信じ、「一緒にやりましょう!」とフォーサイト手帳を応援してくださった先生方には本当に感謝しています。
(日本で初めてフォーサイト手帳を使ってくれた生徒さんの手帳です!)
「分からない」に立ち向かい、チャレンジの連鎖を巻き起こせ!
多くの先生方、そして生徒の皆さんの声に誠実に向き合いFCEグループのフォーサイト事業は実現しました。そこには中迫さんをはじめとする社員一人一人の強い使命感があったといいます。
中迫さん:新しいチャレンジをする時に大切なことは、「分からないことに負けない姿勢」だと思います。フォーサイト手帳事業をスタートした当初も分からないことばかりでしたが、私たちは決して行動することをやめませんでした。フォーサイト手帳にこれほどの情熱を注ぐことができたのは、「これこそが私達がやるべき仕事だ!」と心の底から思っていたからです。この使命感が私達を突き動かし、困難に立ち向かわせてくれました。
フォーサイト手帳は、会社の収益だけではなく未来の可能性を大きく広げた事業です。「7つの習慣J®」は私立学校(全国に約1300校という規模感)が対象でありましたが、フォーサイト手帳は私立学校だけでなく公立学校(全国に約15000校という規模感)にも届けることができるようになりました。フォーサイト手帳のおかげで、全国各地たくさんの学校とご縁をいただくことができ、さらに新しいチャレンジの連鎖が生まれるのではないかとワクワクしています。目下企てているのは、フォーサイト手帳を業界No.1のブランドに押し上げるためのデジタル版の開発です。これもフォーサイト手帳らしく、先生方とともに作り上げていきたいなと思います。これからも進化を続けるフォーサイト手帳を楽しみにしていてください!
本記事ではフォーサイト手帳の事業創造ストーリーに迫りました。
手帳の役割はスケジュールを管理することだと思っていた私にとって、目標を描くところから始めるフォーサイト手帳のコンセプトにはとても驚きました。フォーサイト手帳が子どもたち一人一人の未来に繋がっていると思うと、お話を聞く側であった私もワクワクが止まりませんでした!
そして今回の取材を通して、目の前の先生方、生徒の皆さんに対して自分たちにできることを無我夢中で模索し、ひたむきに実行し続けるFCEグループの戦い方そのものに未来を切り拓く可能性を感じました。
今後のFCEグループのチャレンジにも、乞うご期待ください!
(※2020年度レポートより手帳を1日に3回以上開く生徒の数値)
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