FCEの仲間たちが語る「One Story」
第3回(前編)はFCEエデュケーションの松本真実が登場します。
【真実さん紹介】
愛知県名古屋市生まれ。両親の仕事で4歳まで N.Y.で過ごし、23歳でサンフランシスコ州立大学を卒業。現地校での勤務を経て帰国後、名古屋大学大学院国際開発研究科博士前期課程を修了し、26歳でFCEエデュケーションに入社。…という何ともインターナショナルでアカデミックな経歴をお持ちの真実さん。しかし、普段の真実さんはとても気さくで、涙もろく、誰からも愛される人。仕事では、2つの事業を立ち上げ、現在はインターナショナルスクールの統括責任者として23名もの部下を抱えながら、二人の可愛いお子様も育てるスーパーワーママでもあります。
その活躍は女性誌『Domani』にも取り上げられるほど!FCEグループには、一人ひとりが『New Business Creator(事業創造の主体者であれ)』というコンセプトがありますが、真実さんのFCE storyはまさにNew Business Creatorそのものでした。さて、今回はどんなstoryを聴くことができるのでしょうか。
あたけ:真実さんが入社されたころのFCEは創業3年目…まだまだ無名で実績もそれほどない状態ですよね。どうしてそんなFCEに入社しようと思ったのですか?
真実:ずばりやりたいことをさせてくれそうだったからです(笑)。そもそも私は、将来は研究職に就きたいと考えていました。私の両親が大学で教鞭を執っていて、とても楽しそうに仕事をしている姿を見て育ったこともあって…。だから進路も、アメリカの大学を卒業後、博士号を取得するつもりで名古屋大学大学院に入ったんです。大学で「先生になる学生たち」を教えて、より多くの子どもたちの成長に関わりたいなって。でも、前期課程で周りの学生がインターンや就職活動をしているのを見て、ある想いが芽生えたんです。
あたけ:ある想い?
真実:そう。ずっと大学の研究室にいる私が、いずれ社会に出ていく多くの学生や子どもたちに、的確な情報を提供できるのだろうかって。やっぱり一度は社会を経験すべきじゃないかなと思って、「よし!社会に出よう」と思ったのがきっかけです。
あたけ:そこでなぜFCE?
真実:なかなか繋がらないですね(笑)。まず3年間は働こうって決めたんだけど、ただ働くよりは、研究の延長線上にあるような企業で働いたら、大学に戻ってきたときの論文も書きやすいし、もしかしたら働きながら論文発表もできるかもしれないと思って、シンクタンクや研究機関を2、3社受けました。某有名企業に内定をもらって、そこに行こうかなと思っていたんだけど、面接の時に言われた「自分がやりたい研究を1年目からやらせてもらえるなんて、大間違い」という言葉が引っかかっていて…。私も一般常識がなくて「え?そうなの?」みたいな。「別にお給料とかいらないので、やりたいことをやらせてもらえませんか?」って面接で言っちゃう学生だったわけです(笑)。
あたけ:真実さんらしい…
真実:まぁ、仕方ないかとは思ったのだけど、引き続き会社の検索をしていました。「へぇ、こんな会社があるのか」とか「こんな仕事もあるのか」と調べているときに、何気なく高校生の時から愛読していた書籍『7つの習慣』(スペース)教育 みたいなキーワードで検索して、ヒットしたのがFCEだったんです。高校時代から読んでいた『7つの習慣』をビジネスにしている会社があるんだ、どんな会社なんだろうと気軽に会社説明会に行って。そうしたら、とてもスピーディーに選考が進んで、最終面接で、私が『子どもの人間力とかEQみたいな、心の成長を測れるような研究をしたり、検査をつくったりしたい』という話をしたら、「いいね、おもしろそうだね。それやろうよ!」みたいな。FCEなんて会社は知らないけど、ここだったらやりたいこともやらせてくれそう♡、じゃあ、FCEに入ってみようかな~みたいな感じで決めちゃったのがきっかけです。その後、大学院の先生や友達には「考え直せ!」とか「やめとけ」と猛反対されましたが(笑)。
あたけ:確かにFCEでは「こういうことやりたいのだけど~」と何気なく話したことが「それ、いいね」となってトントン決まっていくことが多いですよね。ちなみに大学や大学院ではどのような研究をしていたのですか?
真実:一貫して異文化間コミュニケーションを研究していました。幼少期にアメリカで過ごしていて、私は小さかったのでカルチャーギャップで苦しんだ記憶はないのですが、姉が長い間、適応するのに戸惑ったり苦しんだりしているのを見ていて、異文化で暮らすということは、子どもにとってとても負担が大きいことなんだなっていうのを幼いながらに感じていて…。大学進学でアメリカに戻ったときも、現地校でインターンや勤務をしていたので、さまざまな国籍の子どもたちが集まっていて、異なる文化や価値観の中でお互いを理解して共生することの難しさや重要性を痛感しました。幼少期に、それぞれの「違い」を尊重できるような心を育くむことができたら、きっと世界はもっと平和で、もっと優しくて、もっと笑顔が溢れるところになるんじゃないかな、そういう教育やプログラムってなんだろうねっていうことを研究してきました。
あたけ:まさに今の仕事にピッタリですね。ちなみにFCEに入社して、子どもたちの心の成長を測るという検査開発には着手できたんですか。
真実:そう、できたんだけど、上司は「じゃあ、やって」というスタンスで(笑)。そういうことを先行研究してる人もいなければ、教えてくれる人もいなければ…何もなし!みたいな状態でした。
あたけ:おお、FCEらしい。真実さんは今まで適性検査とかつくったことあったんですか。
真実:全くなし(笑)!もちろん理論や分析方法は心理学の授業や統計学の授業とかで学んでいたけれど、心の成長って言っても「まず定義は?」というところからスタートでした。だから最初は、国会図書館に通い詰めで、先行研究調べて、自分で組み合わせてみての繰り返し。でも、どんなに調べても私の理論で合っているのかは分からない。これは誰か教えてくれる人がいなけりゃ絶対に1人じゃできないわと思って、今後は、教えてくれそうな教授を探して(笑)。そんなことの繰り返しでした。
あたけ:先生は見つかった…?
真実:なんとか!京都大学の名誉教授で、教育心理学会の理事長。いわゆるトップです。この先生だったら知らないことなんてないでしょうって思って取りあえず学会に入会して連絡先を入手して、京都のご自宅まで押しかけました。
あたけ:ええ?!いきなりご自宅ピンポン?
真実:そう、「ピンポーン、こんにちは~」って(笑)。そこからご自宅に上げていただいて、、、「東京から来ました。こういうことがやりたいんですが、困っています。手伝ってください!!」みたいな。先生も素晴らしいお人柄で、じっくりお話を聞いてくださって、「しょうがないなぁ、じゃあ手伝ってあげるよ」ということで監修していただけることになったんです。
あたけ:すごい行動力!大体、検査を完成させるまでに何年ぐらいかかったんですか?
真実:何年かかったんだろう…、確か仮完成まで2年かかりました。でもその時は紙ベースで回答を手入力して結果を出力していたから、システムを作って自動化するまでを含めると約5年かかったことになると思います。
あたけ:話によると仮完成後、検査の精度を高めるために、大学へもう一度入り直したとか。
真実:正確には、「研究生」という一年間好きに授業を受けていいし、先生の教えを乞うてもいいですよという制度を利用しました。名古屋大学の先生が東京大学でも教えていたので、研究生として東京大学の講義を毎週受けに行って、時々名古屋大学にも行って、先生方にああだこうだって教えてもらいながら修正しました。
あたけ:でも、真実さんが大学に通おうと思った時って、検査も「ココカラ検査」という一つの事業になって、学校への導入も進んだりしているときじゃないですか?どうしてさらに大学に通おうと思ったんですか?
真実:とにかく精度を高めたかったからです。検査って子どもたちにとって影響が大きいものですよね。結果によって、子どもたちを傷つけてしまうことだけは絶対にしたくない。受検することによって、現状把握だけでなく、検査後の状態をより良くするためのきっかけも提供できる検査にしたかったんです。子どもたちが、継続して受検することで、定期的に自己評価や教師からのフィードバックの機会を持つことができる。そして、その機会がそれぞれの強みを伸ばし弱みを改善し、自尊心やモチベーションを高めるきっかけとなる検査にしたかった。そのために、この1年間はインプットしてはトライを繰り返すという学びの期間でした。
ココカラ検査はその後、多数の学校に導入されるなど、事業として自立。先生からも子どもたちの心の状態がとてもよく分かったとか、フィードバックによって子どもたちの自信を育むことができたという評価をもらえるように。真実さん自身も開発側から、実際に学校に出向いて子どもたちへの講座を担当したりと、仕事の輪を広げている期間に、ご結婚(社内♡)、そしてご出産。しかし、ママになってパワーアップした真実さんは、さらに獅子奮迅の勢いで新たな事業の立ち上げに携わることになるのです。その内容は次回に!